この記事ではスポーツ障害であるシンスプリントによく似た症状である「疲労骨折」との見分けるための方法と各々の対処方法が書いてあります。
当院のブログ内に
▼シンスプリントの治療方法
https://168168168.jp/shin-splints-how-to-heal/
▼シンスプリントがなかなか治らない理由
https://168168168.jp/shin-splints-not-heal/
▼シンスプリント用の試合前のテーピングの貼り方
https://168168168.jp/shin-splints-taping/
▼シンスプリントや疲労骨折では松葉杖が必要か?(読者さんからの質問)
https://168168168.jp/shin-splints-crutch/
について書いてあります。どうぞ合わせてお読みください
いろは接骨院にはスポーツや部活動をがんばっている子供たちが多く通院しているのですが、「すねの内側」に痛みが出て来院されることが多くあります。
しばらく休むとそれはなくなることもあるのですが、運動を再開するとまたすぐに痛みが・・・なんてことも少なくありません。
そのすねの痛みは何なのか?どう対処すべきか(当院ではどのように行っているか)をご紹介したいと思います。
走るとすねの内側が痛い理由
スポーツや部活動をがんばっていて、すねの内側(まれに外側)が痛くなるのは足にダメージの蓄積が溜まった状態だからです。
特にすねの内側に発生しているものは二つあり、ダメージがすねの骨の骨膜に蓄積されて痛みが出ているものをシンスプリントといい、ダメージがすねの骨本体にキズをつけてしまったものが疲労骨折となります。
どちらも繰り返しの衝撃によるダメージの蓄積が痛みの原因となっていて、こういった状態をまとめてスポーツ障害といいます。
※ちなみにスポーツ障害の反対はスポーツ外傷といい一度の衝撃でキズがついてしまった状態(例えば捻挫や骨折、打撲をさします)です。
シンスプリントとは
ウィキペディアによると
シンスプリント(英: Shin splints)は、下腿内側に位置する脛骨の下方1/3に痛みが発生する症状。骨折した時のような激しい痛みではなく、鈍痛なのが特徴である。脛骨過労性骨膜炎(けいこつかろうせいこつまくえん、英: Medial tibial stress syndrome)ともいう。
基本的に体を動かすどの運動においても、十分な筋力の整っていないうちからいきなり激しい運動をした際に起こりうるものではあるが、マラソン選手や陸上競技のランナーなどには特に起こりやすい。
となっております。
カンタンな言葉で言い換えると
「シンスプリントはすねの内側の骨の下1/3に痛みがでる。鈍痛が起こる。脛骨過労性骨膜炎:すねの内側の骨の使いすぎによる骨膜に炎症が起こっていると考えられる。陸上競技でなりやすい」
となります。
疲労骨折とは
ウィキペディアによると
疲労骨折(ひろうこっせつ)は、一度では骨折に至らない程度の応力が、骨の同一部位に繰り返し加わることにより発生する骨折である。
となります。弱い力も繰り返しのダメージが蓄積されて骨折に到る、ということです。まさにスポーツ障害の典型と言えるでしょう。
シンスプリントと疲労骨折の見分け方
よく似た症状の傷病がある場合、それがどっちなのか確定しなければなりませんよね。
シンスプリントと疲労骨折も
・スポーツ頑張っている人(よく走る人)に発生する
・すねの内側を痛がる
・走ると痛い
という似た症状ですがその見分け方は次の通りになります。
痛みの場所による判断
シンスプリントがよく起こる位置は内くるぶしから握りこぶし1つぶん頭方(上方)の辺りになります。
(あとで実際に痛みのある点の画像があります)
すねの骨の疲労骨折が起こる位置は行っている競技によって異なります。
文献によると
脛骨疲労骨折は疲労骨折のなかではもっとも多発する。発生部位は上中1/3、中央1/3、中下1/3にみられ、上中1/3と中下1/3は疾走型疲労骨折と呼ばれ、長距離走者に多くみられる。しかし、疾走型のものとは異なり、中央1/3にみられる疲労骨折は跳躍型疲労骨折と呼ばれ、走り高跳び、走り幅跳びなどの、ジャンプ種目に多く発生する。※引用文献「南江堂:下腿と足の痛み 高倉義典」
とあります。まとめると、すねの骨の上部と下部で起こるのは走る競技(疾走型)、すねの中心部で起こるのがジャンプする競技が多いとされています(跳躍型)
なので、すねの内側の上のほうや真ん中の場所を痛がる場合は疲労骨折を起こしてる場合が多いです。
また足の下1/3(内くるぶしからこぶし一つ上)辺りが痛い場合、これはシンスプリントも疲労骨折もどちらも考えられますので自分で判断しないほうがいいでしょう。
レントゲンよりもエコーが有用
骨折かどうかを見極めるのには一般的にレントゲンを撮影しますよね?
しかしこのふたつの鑑別ではレントゲンはあまり意味がありません。なぜなら一般的に疲労骨折の初期の場合、レントゲンには写らないことが多いからです。
それよりはエコー観察装置を用いて患部の血流反応を見た方がよいでしょう。
写真は足の甲の疲労骨折のエコー観察をしたときのものです
当院のエコー観察記録より引用
子供の疲労骨折を疑う3つのポイント
エコーを使った疲労骨折の観察をyoutubeで紹介しております。ご参考になさってください。
当院ではエコー観察を行って疲労骨折の疑いが強い場合は、医科への対診を依頼しております。
そこでMRIを使った診断をおこなっていただくことで骨折の見落としを防ぐようにしております。
すねの上部、中央部の場合、疲労骨折である可能性が高い
下部の場合、どちらもありえるがレントゲンよりもエコー観察のほうが鑑別しやすい
もしくはMRIを撮影することになる(なかなかすぐに対応してもらうのが難しい現実)
対処方法
鑑別して痛みの原因がシンスプリントか疲労骨折かが判別できたら、対処・治療しなければなりません。
疲労骨折の治療
疲労骨折は一般の骨折と違いありません(いわゆるヒビも骨折に入ります)。
ですので自分でできることというのは無いと思ってもらったほうがいいです。
専門の先生がギブスやシーネで固定すると思うのでそれに従いましょう。
しいていうなら、治療が終わって再開するときに足の衝撃を緩めるインソールを入れることを検討してもよいと思います。
また治癒期間を短くするために超音波治療器を当てるのもオススメです。
シンスプリントの治療
まず、自分ですべきことの最優先は部活やスポーツを一定期間休みましょう。
シンスプリントは繰り返しのダメージが溜まって発生していることは先ほど述べました。まずはこのダメージを取り除かないと何にも始まりません。
スポーツや部活を続けながらスポーツ障害を治そうとするのが一番無意味なことだと理解してください。
お酒を飲みすぎてカラダを壊した人が「酒を飲み続けながら治療するわ」っていうのと同じくらい無意味なことです。
テーピングやアイシングをすることも有効ではありますが、これらは痛みがでたときの応急処置やサポートだと思ってもらったほうがいいと思います。
一応アイシングとテーピングのやり方を以下に書いておきます。
アイシングの方法
痛みが出ているところに氷や保冷剤を使って直接冷やします
コールドスプレーや冷やすシップというのは熱を取ってくれるわけではないのであまり意味がありません。
15分間、氷を当てた後しばらく間をおいて再び15分間氷を当てる。
テーピングの方法
5㎝幅のキネシオロジーテープを25㎝から30㎝ほど用意します。先端を斜め(左右で斜めの向きは違います)にして4つに切り目をいれます
足の中心よりややつま先よりに4つまたの付け根をはり一本一本を足の指に対応させてはります。このとき足でグーをするようにします。
そのあと足の指の腱にそって内くるぶしの後ろを通るようにすねの内側やや後方に貼っていきます。最後は引っ張らないでくださいね
当院での施術方法
当院でシンスプリントに一番効果を発揮しているのがアナトミートレインという考え方を使っての施術です。
アナトミートレインとは
これまでシンスプリントのようなスポーツ障害は、痛みが発生している箇所にある筋肉(この場合、後脛骨筋)が硬くなり炎症や引っ張りが強くなることで発生していると考えられてきました。
近年、筋肉の表面である筋膜や靭帯、骨の表面の骨膜(これらをまとめてファシアと呼びます)は体中に張り巡らされており、決まったラインを通ると考えられています。
※引用文献「ファッシャルリリーステクニック 身体構造のバランスを整える筋膜リリース技術」James Earls & Thomas Myers
このラインがアナトミートレイン(列車の通り道を想定)と呼ばれます(図はその一例)
ファシアのラインの一部が動かないことで(逆に動きすぎたりすることで)違う部位に痛みが発生しているという考え方です。
患部の直接的な炎症や歪みだけでなく、この列車の通り道であるファシアのラインに起こっている動きの歪みを正しい状態にすることで痛みを消失させる施術になります。
実際のシンスプリントの症例をごらんいただきます。
シンスプリントの治療の原理や実際をこちらの記事にまとめました。
一度お読みくださいますと幸いです
https://168168168.jp/shin-splints-how-to-heal/
まとめ
①すねの内側が痛い場合、シンスプリントか疲労骨折が発生している可能性が高い。
②まずは休むこと。休んでも痛みが取れない、もしくはスポーツ再開してすぐに痛くなるようだったら専門的な治療をしてくれるところへ。
③専門的なところでもシンスプリントと疲労骨折の見極めは難しい場合が多い
少なくともエコーが無いとわからない
④疲労骨折の場合、通常の骨折と同じ扱いなのでギブスやシーネでの固定をする
⑤シンスプリントの場合、全身に張り巡らされている筋膜のライン(アナトミートレイン)が異常をきたして痛みが発生している場合がある。それを調整する治療は実績がある。
シンスプリント・疲労骨折の治療についてわからないことがあれば、お気軽にお問合せください
059-333-4155
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