いろは接骨院には子供の患者さんがたくさん見えます。
部活や少年団でスポーツをしているとどうしてもケガというのはつきものです。しかし、はっきりとしたケガではなく自然と膝が痛くなってくる子供も少なからず存在します。
今回はそんな成長期の膝の痛み、オスグッドについて解説したいと思います。
オスグッドの原因から症状、そして治療法までをわかりやすく解説しています。
この記事を読むことで自分やお子さんの膝に起こっている症状を理解してお悩みを少しでも早く解決できれば、と思います。
オスグッドってどんな症状?
オスグッド(正式にはオスグッド・シュラッター病といいます)は子どもの成長期に膝のお皿の下にあるすねの骨に変形や痛みがでるものです。
結構有名な名前みたいで患者さんのお母さんも「オスグッドでしょうか?」みたいなことを聞いてきたりします。
成長期にグングンと身長が伸びることにより骨の伸びに筋肉がついていけず引っ張られるという説が主ですが背が全然伸びていないし変形もないのに痛みが出るコもいたりします。
すねの骨の変形
変形は出るお子さんと出ないお子さんがいます。
ちょうど膝蓋靭帯という靭帯が付く位置に成長軟骨が存在するために引っ張られて変形すると言われています。
膝の痛み
先ほどの写真の位置に痛みがでます。
ジッとしてるときに痛いという子もいれば、しゃがむと痛い、走ったりジャンプしたりすると痛い、というお子さんもいるようです。
変形が原因で痛みが出ていると思われがちですが、変形があっても痛くない場合や、変形がなくても痛い場合もあり、一概に変形=痛みの原因とはいかないようです。
検査方法
オスグッドの検査はレントゲンやエコーなどが主流です。
レントゲン
レントゲンは骨の変形を主に診ます。
というか骨しか映らないので変形がない場合には異状ないといわれるかもしれません。
エコー(超音波観察装置)
エコーは骨の表面の様子と患部の血流反応が診られます。
成長期の軟骨には血流反応が診られることが多いのでそれが炎症反応と同じ症状を引き起こしている場合もあります。
エコーによる骨の不整像
※当院の患者さまに協力いただきました
なぜ変形が起こるのか
太ももの前に大腿四頭筋が存在します。この筋肉(特に大腿直筋)の終着地点がすねの骨の上部になります。成長期にはこの終着地点がまだ軟骨の状態です。軟骨はその名の通り柔らかい骨です。
この柔らかい軟骨に大腿四頭筋の引っ張る力が加わることで変形がおこるとされています。
オスグッドの治療とは
一般的なオスグッドはテーピングやマッサージ、ストレッチなどで治療されることが多いです。
当院でも以前から良く行われていましたが、最近は筋膜を正しい状態にする「筋膜整復術」をメインにしております。
筋膜整復
これまでのオスグッドの認識は先ほどにも書いた「大腿四頭筋」がすねの骨を引っ張ることが原因とされていました。
しかし、変形していても痛くない子もいるという事実の説明がつかなくなります。
そこで新しい考え方「筋筋膜経線(通称:アナトミートレイン)」を取り入れて治療を行っております。
これまで痛みの原因と考えられていたすねの骨を引っ張る大腿四頭筋は、全身に張り巡らされた筋膜のラインの一部分という考え方です。
下の写真をご覧ください。
かかとから始まった筋膜がふくらはぎ→太もも→腰→背中と登っていき、最後は後頭部までつながっています。
引用文献1)
このような筋膜のラインが体には何本も存在しており、その途中の筋膜の一部が歪む(伸びない・縮まない)ことによって違う部分にストレスがかかります。
引用文献1)
ストレスがかかった状態で日常生活やスポーツなどを行っていることにより、そのストレスの繰り返しにより痛みの刺激が発生するという考え方です。
ストレスをかける原因となっている一部の筋膜の歪みを整復することで痛みをかなり取ることができます。
痛みを早く取りたい方や、他の治療(ストレッチやテーピング、マッサージなど)をしていてもあまり変化がなく困っている方にはオススメです。
テーピングやストレッチは意味ない?
当院でも以前はオスグッドにもテーピングやストレッチの指導をしていましたが、あまり効果があるとは言えませんでした。
アナトミートレインの考え方を用いると、膝の部分にかかるストレスは大腿四頭筋だけで起こっているわけではないのです。
ですから四頭筋だけをターゲットにしてテーピングを貼ったり、ストレッチをしても効果が少ないと考えています。
まとめ
子供の膝の痛みでお悩みの場合、少しでも参考になって早く痛みが取れることを願っています。
膝の痛みで部活や試合に悔いを残さないようにできるお手伝いをいろは接骨院では行っています。
太もものテーピングやマッサージなどを行っても変化がない場合、ひとりで悩まずに一度ご相談ください
引用文献
1)「ファッシャルリリーステクニック 身体構造のバランスを整える筋膜リリース技術」James Earls & Thomas Myers