スポーツ選手に選ばれる接骨院 いろは接骨院の院長 服部です。
今回はママさんバレー選手が外踝(外くるぶし)の後ろが痛くなった症例をご紹介します。
足首の外側を痛めたというと真っ先に疑われるのが捻挫になるわけですが、早く治すためには正確に損傷部位を特定しなければなりません。
問診をして気になった部分は「特にひねったことはなかった」とのこと。
瞬間的な力が加わることなく痛みが発生してしまって、接骨院に行けばいいのか、整形外科でレントゲンなのか、と迷っていらっしゃる方もいるのではないでしょうか?
そんな患者さんの実際に起こった症例をもとに、外くるぶしの後方で起こる痛みの原因にはどのようなものがあるかをみていきましょう。
患者さんの訴え
練習後に気づいたら外くるぶしの後方が痛くなっていた。
いまは歩いているだけでも痛い。
考えられる症状
この部分を痛がった場合、どのようなことが考えられるでしょうか?
主だったものを3つほど挙げておきます。
- 踵腓靭帯のねんざ
- 長腓骨筋腱の脱臼もしくはその腱鞘炎
- 上下腓骨筋支帯の損傷
踵腓靭帯は外くるぶしの後ろ(腓骨)からカカトの骨(踵骨)にかけて走る靭帯です。
カカトが内反(内側に倒れる)ときに緊張します。
なので痛みが発生するとしたらグキっとなる瞬間がある場合が多いです。
今回はグキっとなった記憶がないので可能性は低いといえます
長腓骨筋腱は外くるぶしの後ろを通って足の裏側に走る腱です。
足をひねってねんざかと思っていたらくるぶしの後ろを外れてしまって脱臼になっているケースはときどき見かけます。
これも瞬間的に痛めることが多いのですが、腱鞘炎の場合は繰り返しによる痛みがでることもあります。
腓骨筋腱の脱臼が起こったときにこの上下腓骨筋支帯(特に上)の損傷が起こっているものですが、脱臼までしなくても腱鞘をカバーをしている腓骨筋支帯が摩擦などで炎症を起こしている可能性は低くはないと考えられます。
検査結果
以上のことを念頭に置きながら超音波観察を実施しましたところ、以下のような画像が見られました。
矢印は腱鞘を示すローエコー(黒い部分)です。ここの厚みが患側(痛い足)と健側(痛くない足)で若干違う様子が見て取れます。
また超音波観察を行いながら腓骨筋脱臼の誘発を行ってみました。
腓骨筋が腓骨筋支帯の制御を超えて腓骨を乗り越える(脱臼する)様子は観察できませんでしたが、腱鞘の部分のローエコー(黒く映っている部分)が大きくゆがむのが見て取れました(緑矢印)。
この画像より腱鞘が腓骨と上腓骨筋支帯の間に入り込むように動いていると考えられ、繰り返し動作による腓骨筋支帯の損傷の可能性が高いと思われます。
処置の仕方
長短腓骨筋腱を支える腓骨筋支帯に圧迫を加えることを目的としてパッドを当て、その上から包帯固定で足関節の動きも制限しました。
以下にそのやり方を紹介いたします。
- パッドをJの字に当てる
- アンダーラップを使いパッドがずれないようにする
- 包帯でパッドと足関節の動きを制限する
現状の様子
現在、上記の固定法と微弱電流による除痛作用を使って、施術開始から5日くらいですが、日常動作は痛みがほとんどなくなりました。
もう少ししたらパッドを当てたままですが、バレーボールを軽めにしてもらおうと思っています。