たくさん歩いたあとや地面に足をつけるだけでかかとが痛いという傷病があります。
整形外科にいってレントゲンを撮ってもらって、骨のでっぱりの有無を確認してもらい、それがない場合は「足底筋膜炎だね」と言われるようです。
趣味のジョギングや立ち仕事、または体重が重いせいでなったんですかね、なんて言われることもあるかもしれません。
しかし、同じように立ち仕事をしている人が全員痛いわけではありませんし、もっと太っている人でも痛くない人がほとんどです。
いったいなぜ自分だけ痛い?と不安に思うかもしれません
なぜ自分だけ日常生活やスポーツに支障をきたしているのか?と不満に思うかもしれません。
この記事ではそんな足底筋膜炎に困っている人が笑顔で日常生活やスポーツを再開できるための治療法について書いてあります。
これまでの主な治療とは
これまで足底筋膜炎に対する主な治療はテーピングとインソールでした。
当院でも行ってきましたが、この二つでは足底筋膜炎が治る場合と治りにくい場合がありました。
テーピング
かかとにある脂肪体をまとめるテーピングになります。
youtubeでやり方をアップしているのでご覧いただけると幸いです
インソール
インソールは足の歪みを矯正することでかかとの骨の配列を整えます。
これによってしっかりとしたポジションの足で着地することになり、衝撃に耐える力がつきます。
二つの治療の共通点
これまで、この二つの治療である程度の結果をだしてきました。
でも先ほども書きましたが、良くなる場合とならない場合がありました。
この二つの治療の共通点は「足底」をターゲットにしていることです。
新たな治療はどこが違うのでしょうか?
足底筋膜炎に対する筋膜整復治療とは
新しい治療法はこれまでの足底筋膜炎の治療の概念を覆します。
足底筋膜炎という傷病の認識ですら変わりました。
というよりは認識を変えないと痛みが取れなかった、という表現が正しいでしょう。
これまでの治療と何が違うのか
これまでの治療では足底筋膜炎に対して「足底」や「足底筋膜」をターゲットにしていました。
足底筋膜炎の痛みをなくすために行う治療が劇的に成果をあげるようになったのはそのターゲットを全身に広げたことです。
全身にある筋膜の、一部で起こっている歪みを見つけてそれに対しての治療を行います。
手技の名前としては筋膜整復といたします。
この全身の筋膜を整復することで次のようなメリットがあります。
筋膜整復法のメリットとは
この治療法を用いると痛みが即効で減ります。
2~3回から数回の施術で痛みがほぼなくなります。
なぜそんなことが可能なのか?まだ理解できませんよね。
これまでの足底筋膜炎の認識では
「炎症が起こってるからそれが引くまで痛い」
「太っているから痩せるまで衝撃は減らないから治らない」
そんなふうに思っている患者さんからするビックリする事実です。
どのような理由で痛みが取れるのか?ということを以下に説明させていただきます。
なぜ痛みがとれるのか
そもそも治療とは痛みの原因を取り除くものです。
なぜ痛みが取れるのかを理解するために痛みについて理解してもらう必要があります。
専門的な言葉はなるべく控えて書いてありますので気軽に読んでみてください。
痛みの発生は神経×刺激
痛みが発生するメカニズムは次の式で表現できます。すいません、院長バリバリの理系人間なのでこんな説明になります。
式の右辺は掛け算ですのでどちらかがゼロのときは痛みは発生しません。
痛みの神経(以下、痛覚神経)がないところに刺激を加えても痛みを感じません。
肘をギューっとつねっても痛くないですよね?
また同様に痛みの神経があるところでも痛みの刺激がなければ痛くないです。
逆に痛みが強くなるのは「痛覚神経が豊富にあるところ」に「痛みの刺激がたくさんかかった」場合であるといえます。
痛みをなくすための条件
先ほどの式で痛みが強くなる条件は「痛覚神経が豊富にある」×「刺激がたくさんある」ことでした。
この式の「痛みの発生」をゼロにするためには痛覚神経をゼロにするか、刺激をゼロにするかのどちらかになるのはお分かりいただけるでしょう。
しかし痛覚神経を物理的に筋膜からなくすことはできませんよね。
ですから痛みをとるには刺激のほうをなくすという手段をとるしかありません。
ではこの刺激をなくすためにどうすればいいのでしょうか
足底筋膜への刺激はどこからくるか
これまで足底筋膜炎というと「足底筋膜」が原因だと思われていました。
しかし筋筋膜経線という考え方を用いると足底筋膜を含む筋膜は全身に走っていることがわかりました。
引用文献「ファッシャルリリーステクニック 身体構造のバランスを整える筋膜リリース技術」James Earls & Thomas Myers
足底筋膜はかかとを通る筋膜のラインの一部分でしかなかったのです。
ですからこれまでの足底をターゲットにした治療(テーピングやインソール)で治る人たちもいました。
それは足底筋膜だけが悪かった人たちです。
全身に走る筋膜がどのようにかかとへの刺激になるかをカンタンにイメージしていただこうと思います。
もしアナタがいま長袖のシャツを身に着けていたら、肘を直角に曲げたまま、二の腕のところの衣類をグッと握ってみてください。
その状態のまま肘を伸ばすと通常よりも袖がまくりあがります。
シャツが筋膜だと考えるとぐっと握られた部分が筋膜の歪みで、まくりあがった袖が患部へのストレスです。
このように一部の筋膜に歪みが出た状態のまま生活やスポーツをしていると離れたところで筋膜にストレスがかかっています。
これが痛みの刺激となっていくのです。
一部の筋膜に歪み→違う場所にストレス→スポーツなどで繰り返される→痛みの刺激となる
足底筋膜炎の痛みを取るためには
カラダのどこかで起こっている筋膜の歪みを見つけて、それを取り除くことが足底筋膜炎の痛みをなくす治療手段となるのです。
実際の症例
ここからは当院に実際に来られた患者さんの症例を紹介しながら治療法をごらんいただきます。
患者さんの主な訴え
50代女性
半年ほど前にたくさん歩いたときからカカトが痛くなった
何とか完治したいです
筋膜のチェックとリリース
筋膜のラインの途中(骨盤部)までは分岐がありませんのでチェックとリリースが同時進行となります。
足底部→下腿部→大腿部→骨盤までを行いました。
その後、体幹のひねりなどの可動範囲をみて動きの悪さを取っていく筋膜ラインを決めていきます。
各部のリリースと痛みの変化(初回)
かかとに近い部位から順番にチェックとリリースを行い、その都度、痛みを数値で言ってもらいました。
最初の痛みを10として表現してもらいます。
足底リリース後 10→8
下腿(ふくらはぎ、すね)リリース後 8→6
大腿(ふともも)リリース後 6→2
ここでかなりの変化がでましたね
骨盤と腹斜筋(脇腹の筋肉) 2のまま
ここから先はあまり変化が認められないかな、と思ったのでテーピングを施して一回目の施術が終了しました。
各部のリリースと痛みの変化(2回目)
初回から3日後にもう一度施術をさせていただきました。
スタートの時点ですでに3くらいの痛みしかありません。
今回も大腿リリースの後に変化を感じられたようですが、少し痛みが残るとのこと。
このくらいになると最初の痛みからすると2くらいになっているので細かい数値化が難しいみたいです。
右手からの筋膜のラインと左足からくる筋膜のラインが共有される右の前鋸筋の動きをみると異常な硬さがありました。
※画像は違う患者さんです。前鋸筋も左前鋸筋になっています。
この前鋸筋の筋膜を調整すると、かかとの痛みだけでなく右手の腱鞘炎の痛みはほとんど無くなりました。
左足のかかとの痛みと右手の痛みの原因が同じだなんてなかなか考えられないですよね
この時点でカカトを押しても痛くないとのことでしたが、違和感を感じていると言っていたのでテーピングをしたら痛みがなくなったとおっしゃっていました。
これまでの治療であるインソールやテーピングとのハイブリッドの治療をするのもありだなあと感じました。
まとめ
全身に広がる筋膜のどこかに歪みがでるとそれが違う場所でのストレスになっていることがあり、足底筋膜炎の原因は足底筋膜だけでないことが多いです。
今回は太ももの筋膜と肩甲骨周りの筋膜の異常がかかとの痛みの原因でした。
もしあなたがいま足底筋膜炎の治療をされていてあまり変化を感じないようでしたら、一度当院の施術をお試しいただいてもいいかもしれませんね